今回は、「Transformation」よりも「Augmentation」が日本企業に合うキーワードだと考えるのはなぜか?
ということについてお話したいと思います。


「コロナ渦を機にイチから見直す」が、日本の組織にできるのか?

前々回と前回のコラムでは、
「Transformation」が日本では難しい理由として、

1.日本人は、定義をしない
2.日本人は、結果よりも過程を重視する

という日本人の考え方や行動習慣が「Transformation」に向かない、とお話をしました。

最近よく聞く
「コロナ渦を機に、組織や業務をイチから見直す」との掛け声(あえてこう言います)も、無理だと思うんですよね。

というのも、

イチから見直したことになる定義は?
→定義しないから、とりあえず何となくできたことが見直したことになる
イチから見直す目的は?
→頑張っている人には言えないから、見直すことが目的になる

これでは、イチから見直すことなんて、できません。

でも、「DXセミナー」では
方法論とか成功事例とか紹介されているけど?
と言う人もいるでしょう。
それはおとぎ話として聞くのは良いと思います。ファンタジーに近い。


「Transformation」が進まないのは、能力の問題ではない。

DXなり、「Transformation」なり、が思うように進まない、できない理由として

変わることを恐れる老害がいるから
組織にしがみついている人の能力がないから

なんてことがよく言われて
セミナーでは対策法なども語られているようですが、
能力うんぬんというような浅い問題ではないと思います。

本当に「Transformation」をやろうとしたら、
先に定義する演繹的なアプローチが必要です。

しかし、日本人にはそのアプローチは根本的にないのです。
能力がないから、ではなくて、
そういう考え方が染み付いている人たちだから、としか言いようがない。

そんな日本人が、海外で成功したDX事例を持ち出して、真似しようとしても無理です。
海外のビジネスマンは先に定義をする演繹的なアプローチの考え方が染み付いている人たちだから。

どっちが良いとか悪いとかいう問題ではなく、
「Transformation」に関して言えば、ということです。

もちろん、こんな「Transformation」に向いていない日本でも
しっかりやり遂げる組織はあるでしょう(たぶん)。

ですが、それは数少ないのではないか?(私の知る限りではない)と思います。


無理に「Transformation」を掲げれば、目的が形骸化する。

無理に「Transformation」を掲げて必死に努力したあげく
目的が形骸化して逆に停滞してしまうよりも
強みを伸ばす「Augmentation(拡張)」に徹したほうが
日本の組織に向いているのでは?

できないことを特訓する暇があったら
得意なことにお金と時間をつぎ込んで
強みを「Augmentation(拡張)」した方がプラスなのでは?

スポーツでも
足が遅いという弱点を克服する時間と労力があれば
器用さを活かしてボールを巧みに操るとか
体の大きさを活かしてパワーを付けるとか
強みにつぎ込んだほうが
結果を残せますよね。

そもそも足が遅いと決定的に成立しないスポーツは選んでいないはずです。
短距離走という市場では勝負していません。

組織も、その弱点があると決定的に成立しない土俵では戦っていないはずです。

だったら、弱点にはまず目をつぶって
個人や組織が持っている特徴を「Augmentation(拡張)」して、強みをドーンと伸ばしていく。

それが、今の日本の組織に合っているやり方、キーワードだと思い、
組織が「Augmentation(拡張)」に徹するための橋渡しになろう、ということで
「Augmentation Bridge」=「AB社」という社名にしています。

以上、「Augmentation(拡張)」について、
4回に渡っていろいろとお話させていただきました!

次回からは、採用市場で課題になっている「需給ギャップ」についてお話する予定です。
引き続き、お付き合いくださいませ。どうぞよろしくおねがいします。