AB社コラムの第5回からは、社名にもなっている「Augmentation」についてお話したいと思います。
そう、AB社とは「Augmentation Bridge」の略なんですね。
「Augmentation(拡張)」は、個人や組織の特徴を活かす。
「Augmentation」とは、日本語では「拡張」です。
「Augmentation(拡張)」という言葉は、今の日本の個人や組織を強くするキーワードだと考えています。
もっと成長したい、もっと強くなりたい、と考えた時に、
日本人は生真面目なので、足を引っ張っている弱みを埋めようとしがちです。
まずは弱みを洗い出して、それを埋めていく、という方法を取りたがる。
でも、それはもったいないと私は思います。
弱みを埋めるということは、強みを消してしまうことにつながることも多々あるからです。
もちろん、弱みを埋めることで多少は個人や組織は成長しますが、
ブレイクスルーするほどの成長は難しいですし、
時間もかかります。
それならば、個人や組織が持っている特徴を「Augmentation(拡張)」したほうが良いのではないか?
弱みを矯正するのではなく、強みを伸ばしていくことを主眼に置きましょう、と。
特徴とは、強みも弱みも、両方をひっくるめたものです。
だから、特徴を「Augmentation(拡張)」すれば、強みはドーンと伸びますが、弱みも増えます。でも、まずは弱みに目を向けず、強みを伸ばすことに意識をフォーカスしたほうが良い。
強みが成長していけば、弱みはあまり気にならなくなります。
つまり、個人や組織が今持っている特徴を活かしていこう、というのが「Augmentation(拡張)」の基本の考え方です。
今の時代のキーワード「Transformation」とは?
一方、今の日本の組織に必要だと盛んに言われているのが「Transformation」です。特によく聞くキーワードは「DX=Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)」ですね。
「Transformation」とは、日本語では「変換」「形態変容」との意味です。
そして、「DX」とはデジタルの力で、組織やビジネスモデルを変革して、組織のあり方や価値提供のやり方を抜本的に変えること、というような意味で使われています。
繰り返しになりますが、「Transformation」とは、形態を変えること。
トランスフォーマーという映画にもなりましたが、毛虫が蝶になるように、いずれ時が経てば成功して羽ばたいていけるように、形を変えなくてはいけない、という意味合いで使われているように感じます。
しかし、生き物が成長するようには、組織は成長しません!
生き物になぞらえて、企業の変革をしようとする考え方は危険ですし、無理があります。
だから、本当の意味で「Transformation」を完遂した日本企業は、まだありません(私の知る限り)。
「Transformation」の定義は、各社バラバラ。
でも、あちこちのセミナーとかで、DX成功事例がいろいろと取り上げられているけど?
そう思った方も多いと思いますが、果たしてそれは抜本的に変わる「Transformation」と言えるでしょうか?
例えば、よく聞く事例の富士フイルム。
フイルムメーカーだったのが、化粧品や医療に進出し、業態を変えている、と言われます。でもそれは変容、というよりは、もともとのフイルム技術を核にして、事業を増やしているのでは?
JR東日本などの鉄道会社。
これも、昔とは大きく会社の有り様は異なっていますが、鉄道を核にして事業を増やしているのでは?
それでも、こうした企業が、DXの事例として大きく取り上げられてしまいます。
それは、「Transformation」の定義が、各社バラバラだから。
もっと言えば、誰も「Transformation」の定義をせずにDXをしようとするので、デジタル技術を使ってちょっと変えたり足したりすれば、それがDXでしょ、ということになっているからです。
これは、特定の企業が悪い、ということではなく、日本人は定義をしない人たちなのです。
だから、私は日本では「Transformation」を標榜することは無謀なのではないか、と考えています。
長くなりましたので、今回はここまでに。
次回は、日本では「Transformation」は無謀だと考える理由について、もう少し詳しくお話します!