前回、前々回とあらゆるビジネスシーンで役立つ基本中の基本スキルを紹介していますが、今回はいよいよ3回目!
「古典的な企業会計」
「プロジェクトマネジメント」
に続き、3大基礎シリーズの最後を飾るのは
「データサイエンス」
です。
「サイエンス」と聞くと難しく感じますが、ちょっと流行りの言葉に乗っているだけです。
専門的な統計や分析の知識が必要なわけではなく、
データの「扱い方」や「利用の仕方」を知っておきましょう、というお話です。
目次
- 必要なのは「正規分布」と「べき分布」だけ。
- 「もっともらしい」根拠で予測すれば、組織が動く。
- データサイエンスは先のことがわかる魔法ではない。
- ビジネスシーンにおけるデータサイエンスに、Pythonはいらない。
必要なのは「正規分布」と「べき分布」だけ。
データのスキルを身に着けましょう、となると、
「平均値とは?」
「中央値とは?」
というところから学ぶと思いがちです。
そんなものは一切!必要ありません。
データのスキルとは、
・正規分布(いわゆる山なりの“ベルカーブ”)
・べき分布(2割が8割を稼ぎ、あとはロングテイル消費される“べきカーブ”)
の2つに収束させて、ゴールを説明できるスキルです。
結局のところ、この2つの分布で、モノゴトの説明をつける。
そこをわかった上でデータを語り、利用しましょう。
「もっともらしい」根拠で予測すれば、組織が動く。
そもそも、データを分析した統計資料(数字)を見つめたところで
将来のことが完璧に見えるわけではありません。
コロナだの、紛争だの、異常気象だの、
不確定要素がこれだけある世の中で
誰も先のことはわからない。
しかし、ある程度それらしい根拠に基づいた先のことを
誰かが言わないと、組織は動きません。
例えば、来期は前年比110%の売上を目標とします!と
経営者や営業部長が宣言したとします。
「なぜ110%なんですか?」と聞かれたとき、
「私のラッキーナンバーです!」と堂々と言い放ち、
それでも従業員が付いてくるカリスマ性の持ち主なら根拠は必要ないでしょう。
しかし、そんなカリスマ的なトークテクニックがないならば、
105%でも120%でもなく
110%である、とするロジックが必要です。
完璧に正しい予測なんてありませんが、
「もっともらしい」説明がよどみなくされたら、
「じゃあやってみるか」と従業員が付いてきて、組織が動きます。
その「もっともらしい」雰囲気を演出するには
ベルカーブかべきカーブに収斂させることが必要です。
なぜなら、わかりやすいからです。
データサイエンスは先のことがわかる魔法ではない。
データサイエンスは千里眼ではなく、
新しいことがわかる魔法でもありません。
ただし、「いま何が起こっているのか」の把握には使えます。
そのために使うものです。
しかし、この先どうなるかはわからないとはいえ、
「その場の状況に応じて臨機応変に対応しましょう」
は無理です。
臨機応変に対応なんて、
11人のサッカーでも無理なのに
会社という組織でできるわけありません。
誰かが
「おそらく少し先はこう予測できるので、このようにやっていきましょう!」と言わねばならない。
その際に、その予測を正解っぽく見せて組織を動かすために必要なこと。
それが、
・正規分布
・べき分布
の2つに持ち込んで、従業員を「やってみるか」と納得させることです。
これが、ビジネスシーンにおける
データサイエンスというスキルです。
ビジネスシーンにおけるデータサイエンスに、Pythonはいらない。
ちなみに、最近、データサイエンスというと
「Python(パイソン)でビックデータ解析!Pythonを身に着けて、データサイエンティストになろう!」
みたいな研修の謳い文句を見かけます。
ですが、Pythonを使えるようになることは、
自分でクルマを運転できるようになる、ということに過ぎません。
結局はPython使って出てきた数字を見て
組織を動かすために正規分布とべき分布に収束させて方針を示すことになります。
クルマを運転する人より
後部座席で葉巻きを吸っている人のほうがエラくて組織的には大切なのです。
さてここまで3回にわたって、ビジネスシーンにおける3大基礎スキル
・古典的な企業会計
・プロジェクトマネジメント
・データサイエンス
が必要な理由についてお話してきました。
次回は、3つの基礎スキルに共通しているポイントを考えていきます。
「経営者の鬼コーチ」であるAB社が考える、組織を動かす極意でもあります。
経営幹部の方必見!