前回、日本では「独立した個」は無理で、小さな集団(タコツボ)に所属していないと、孤独に耐えかねて生きていけない、という話をしました。
この行動、考え方は日本人には染み付いています。
今は「昭和97年」とよく言われますが、「江戸419年」の歴史がある行動、考え方です。
これだけの歴史を重ねてきたタコツボサイロから追い出されると生きていけないので、どうやってしがみついてきたのか、お話します。
日本人は「一ツボ懸命」に生きている。追い出されないためには?
我々日本人は、少人数のタコツボサイロ(「ムラ」とも言います)に溶け込んで、一所懸命ならぬ「一ツボ懸命」で生きています。
「一ツボ懸命」に生きるためには、ツボ(ムラ)から追い出されるわけにはいかない。そこで、追い出されないためのマナーがあります。
■ツボから追い出されないための4大マナー
1.返事は「ハイ」か「YES」
「個人の意見」など百害あって一利なし。
「自分のアタマで考える」なんて余計なこと、必要とされない。
2.迫りくる変化に対しては「保留」か「却下」
変化に対して、決して事前に備えない。
起きたら困ることが予想できたとしても、起きないことにする。
それでもやっぱり起きて困ることが起きてしまったら、起きなかったことにする(もみ消す)。
3.空気を読んで上目遣いでお伺いを立てる
上から目線でモノを言うなんて言語道断。
4.みんなで「絆」を握り合う
「絆」とは家畜を縛るヒモのごとし。
互いの抜け駆けは、決して許しません。
メンバーひとりのミスでツボ全体にバチがあたる。そうならないためには?
さらに、ツボ(ムラ)では、メンバーひとりのミスでツボ全体にバチがあたることがあります。
飢饉、災害、疫病などがメンバーひとりのミスによって蔓延し、ツボ全体を瀕死に追い込むのです。
そうならないための心得があります。
■ツボ全体にバチがあたらないための5つの心得
1.メンバーがひとりでもラクをしたら、ツボ全体にバチがあたる
徹夜したり、灼熱の甲子園で連投したりすれば清められ、穢れを祓う。
2.ぜいたくするメンバーがいると、ツボ全体にバチがあたる
みんなで清く、貧しく。清貧至上主義。
3.不謹慎は、ツボ全体にバチがあたる
不謹慎はマジのガチでダメ。
「こんなことしたらバチがあたるな」と少しでも感じたらそのとおりになるので、絶対にダメ。
4.行き過ぎた人智、つまり自然への傲慢は、ツボ全体にバチがあたる
科学数学とは自然に対する傲慢で不謹慎である。
しかし、社会にとってはやむを得ず必要。つまり必要悪である。
5.貨幣経済は、ツボ全体にバチがあたる
お金儲けをすることは、不謹慎である。生きていくためには、やむを得ず必要だが。
そんなお金の穢れを神仏に引き取っていただくのが「お賽銭」。
日本の強力な「絆嫉妬社会主義」「同調圧力」の元となっている。
この【4マナー5心得】こそ、抜け駆けは絶対許さない「絆嫉妬社会主義」の強固な岩盤。これからも決して揺らぐことはありません。
4つのマナーを守った結果として、ツボ(ムラ)全体が落ちて滅んでいくならそれはもう仕方ない、と諦めます。
5つの心得のポイントは、すべて「ひとりのメンバーが心得を守らないと、ツボ全体がやられる」ということ。
これが日本の強力な同調圧力のパワーとなっています。いまだノーマスクだと外を歩けません。
縮退し続ける日本が、生き残りを考えるとするなら、
「江戸419年」の実相をしっかり踏まえた議論が必要だと考えます。
この150年間、失敗続きだった欧米のコピペをするのはもう辞めましょう。
「DX」も言わずもがな。
一神教であり、法人も「独立した個」として動ける欧米のコピペを試みても、また失敗して「失われた◯年」を繰り返すだけです。