コラムの第3回は、電通を退社して起業に至った経緯について、お話しておきたいと思います。
電通を辞めたホントのところ。
私は新卒以来30年以上、電通に勤務していました。そんな電通を2019年5月に退職し、8月にAB社を立ち上げましたのですが、実は大きな志があって独立したわけではなく、正直言って、当時はあまり前向きな理由ではなかったんですよね。
一言でいうと、辛くなってしまったのです。正社員と仕事をするのが。
正社員の方々は、打ち合わせで課題が持ち上がると、「持ち帰って検討します」とか「私の一存では決められません」とか言います。
その場で決めません。
責任が取れないから、持ち帰って上司に相談するんですよね。
お前も正社員じゃないか!というツッコミがありそうですが、そのとおりです。
そして、持ち帰って上司に相談することで、トラブルなく仕事が動いていくこともわかっています。
正社員がいるからこそ、社会や企業が成立していることもわかっています。
ですが、正社員と仕事をするのも、自分が正社員であることも辛くなったから、会社を辞めました。
だって、自分で何も決められないって変じゃない?
この違和感を見てみないふりをしていようと思いましたが、無理でした。この違和感を、会社を辞めてしまうほどのストレスに感じてしまう私こそ、変なのかもしれません。
正社員を雇わないことが、起業のコンセプト。
ですが、この前向きではない会社を辞めた理由を掘り下げることで、私の起業コンセプトは決まりました。
正社員がいない組織を、自分でつくろう。
正社員という雇われ方、雇い方をやめて、業務委託できる個人事業主の方々と集まって、楽しく仕事ができる組織にしよう。
このコンセプトを具現化する場として、AB社を立ち上げました。
プロ意識の高い個人事業主の方々と一緒に仕事をするようになり、すごく助けられました。同じスタイルで仕事をする同士が集まるって、想像以上にストレスがないんですね。毎日が楽しくなり、妻にも「表情が全然変わった」と言われています。正社員だった頃は、「顔が死んでる」と言われていたので。
繰り返しますが、正社員を否定しているわけではありません。
私にはできなかっただけです。
「そんなこと言って、お前30年以上も正社員だっただろう!」と突っ込まれると思いますので、次回はなぜ私が30年も正社員をしてきたのか、この30年で正社員に求められることはどう変わってきたのか、などについてお話したいと思います。
ではまた!