前回に続いて、閉塞感がある組織を前向きに変えていくために必要なことについてお話します。

前回は、組織に閉塞感があるのは、人間関係が閉塞しつつあるから、というお話をしました。人間関係を開放に変えていくためには、お互いがお互いの現況と経緯と事情を理解し、認め合うことが有効です。

目次

  1. 敬意を理解し合う「1on1対話」
  2. 「1on1対話」の3つのルール
  3. 人間関係の基本:相手をリスペクトしていることを示す。

敬意を理解し合う「1on1対話」


認め合う方法としては、1対1で話をする「1on1対話」を計画的に実施することをおすすめします。

「1on1対話」は上司と部下では目標設定面談などで定期的に行われていることが多いでしょう。それとは別の機会を設けて、他のチームと同じような年次や職責の人とペアリングして行いましょう。

30分くらいお互いの「現状に至った経緯と事情」を説明して、理解し合うことが目的です。

前回の繰り返しになりますが、相手の合理的ではない現状に迎合するわけではありません。相手が現状に固執する理由や事情を理解して、同じ事情に自分が置かれたら同じ選択をしていたかもしれない、と言葉にすること。それが「認める」ことです。

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「1on1対話」の3つのルール


「1on1対話」には、いくつかルールを設けます。

ルール1:「現状の肯定」ではなく、「現状に至った経緯を肯定する」。

他者に経緯を肯定されることで、現状の改善点を客観的に見られるようになります。もし改善できるならしても良いかも、という気持ちになるものです。

ルール2:相手の現状を否定しない。

「なんで!?」と聞くのは禁止です。論評もしません。経緯を傾聴し合うこと。ここでは現状についての意見交換にならないように。

ルール3:現状への不満ではなく、あくまで「現状に至った経緯」にフォーカスする。

現状が100%完璧だと思っている人はいません。多かれ少なかれ不満を持っているものですが、その吐き出し大会にならないようにします。

人間関係の基本:相手をリスペクトしていることを示す。


これら3つのルールを守って相手の経緯を傾聴することは、人間関係を開放に向ける新しいテクニックではありません。古くから言われている「交渉相手を尊敬していることを示す」ための基本中の基本です。

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意見が異なる相手とディスカッションするときは、まずは「場合によっては考え方を変えても良い」という気持ちになってもらうことが必要です。そのためには、「この交渉相手は現状に至った経緯をリスペクトしてくれている」と安心してもらうことが大前提。

「なんで!?」と頭ごなしに言うときは、別にその経緯や理由が知りたくて聞いているわけではありませんよね。否定や非難している気持ちが裏にあります。

否定する「なんで!?」と聞いたところで、成果は決して得られません。(自分が望むように)相手が変わることはほぼありません。ますます閉塞化する方向で変わることはあっても。

一方で、リスペクトを込めて肯定する「どういう経緯で?」聞けば、得られる成果がまるで異なります。リスペクトを示し、相手の態度や気持ちが軟化して「考え方を変えても良い」というモードになってきたら、具体的に現状の改善に移る。

このプロセスは、あらゆる人間関係に応用が効くと思います。