「常識ある優等生」が投資に負けない方法についてお話するシリーズの第4回です。

目次

  1. 作戦5:損切り予定額を決めておこう。
  2. ルールは自分で決める。
  3. 投資案件の原価は取得価額ではなく、損切り額!
  4. 優等生の完璧主義は、投資には向かない。

今回は投資の管理についてお話します。投資とは、案件ごとのPL管理です。PL管理の要諦は「損切り」と「利益確定(利確)」のタイミングです。

作戦5:損切り予定額を決めておこう。

「損切り」とは、損失を抱えた状態の投資案件をあきらめて売却し、損失を確定することです。

この「損切り」を、あらかじめルールを定めて、どのくらい損をしたら売却してロスカットするか、決めておきます。

しかし、このルールを定めて厳格に適用することができる“優等生”は、非常に少ないのです。

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ルールは自分で決める。

まず、損切りルールは、案件ごとに必ず自分で決めましょう。

空気を読んで同調しないことが大切です。
例えば、ネットで人気のYouTuberなどが「損切は10%」と言っていて、それを試してみるのは良いでしょう。しかし、その10%が自分のコンディションに合っているかどうかは、自分で決めなければなりません。

同調しないで、自分で決める。

優等生は、同調至上主義なので、これがなかなか難しい。

優等生の方々は、空気を読んで悪目立ちせず、周囲と同調していれば大損しないことを知っています。周囲と同調していれば安心安全で、「何かあったらどうするんだ」と言い続けられる人が企業で出世します。

しかし、以前にリスクとリターンについての話をしたときにも説明しましたが、何かを得れば何かを失います。

同調していれば安心、という優等生らしい人格を捨てて、投資のときは周りの目を気にせずマイルールで突っ走る別人格になりましょう。

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投資案件の原価は取得価額ではなく、損切り額!

損切りルールを決めるときは、

投資した案件の原価は、取得価額ではなく、損切り額。
あらかじめ損切りする予定価格を決めておき、その予定価格が原価である。

と考えることを提案します。

簿記会計とは明らかに異なりますが、投資は別人格なので会計ルールも変えます。

例えば、あなたは損切り額をマイナス20%と決めています。ある日、株を100,000円で買ったとします。

このとき、株の原価は100,000円ではありません。損切り額の80,000円です。

原価は80,000円なので、株がこの価格まで下落したとき、損切りします。
原価は80,000円なので、損益ゼロです。これ以上下がると赤字になるので、さっさと売却します。

「80,000円で売ると、20,000円損してしまう。損が確定するのは嫌。また値が戻ることもありうるのだから、売るのはやめよう」

と、含み損を抱えたまま塩漬けすると、確かに上がることはあるかもしれませんが、さらに下落することもあります。

しかし、80,000円で売ればその金額が戻ってくるので、他の投資に投入することができます。

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優等生の完璧主義は、投資には向かない。

優等生はここでオートマチックに損切りできません。

積極的な失敗ができない、と言い換えることもできます。

我々勤勉な日本人は、「一度失敗したら、それでおしまい」「コツコツこそ美徳」と、子どもの頃から刷り込まれています。

日本人は失敗したら撤退してやり直せば良い、という考え方を、そんないい加減なことではダメだ!と徹底否定するように教育されてきました。

完璧主義なのです。

そのため、日本ではディベートは成立しません。相手の誤りを指摘するだけで、「全人格を否定された!誹謗中傷だ!ハラスメントだ!」となるからです。

確かに、完璧主義の優等生精神は、大きなメリットがあります。このおかげで、日本は高品質で安価な製品を大量生産することができて、20世紀後半に世界有数の豊かな国になることができました。

しかし、この完璧主義は、残念ながらデジタル化には向いていませんでした。

デジタル化に向いているのは、トライ&エラーの繰り返しです。プロトタイプ(試作品)でもどんどんマーケットに出し、不都合や不具合をその都度修正(アップデート)していきます。

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このやり方が世界を席巻したときも、日本人は「完璧な製品やサービスが完成してから発売する」という縛りを捨てきれず、多くの市場で競争に敗れました。それがここ30年の状況です。

投資の世界もデジタル化と同様に、このトライ&エラーが成果を生みます。

完璧主義だからこそ生じる「損切りしたら負け」の精神は、投資の妨げにしかなりません。

「損切りなんかしたら、自分が間違っていたと指摘されるのと同様に、全人格を否定された気になる」という優等生気質を持ち続けたままでは、投資の世界では生き残ることはできないと、肝に銘じましょう。