サステナビリティ開示は、努力と根性と手作業では終わらない。

 

いま、上場企業の目の前にあるサステナビリティ開示の課題は、来年度から課せられる「人的資本についての開示」です。

総務省による「人的資本可視化指針」でも、「独自性」事項と「比較可能性」事項のバランスの確保がポイントとして挙げられていて、

投資家が企業比較分析のために必要とする比較可能性のある開示事項の適切な組み合わせ、バランスを確保する必要がある。

としています。

要は、

他社と比較して投資するか/しないかを決めたいから、

同業他社やベンチマーク企業が出してるデータに合わせてくださいね。

と言っています。

では他社をちょっと見てみましょう。

<出典:出光興産サステナビリティサイト>
<出典:ダスキン コーポレートレポート2022>
<出典:積水ハウス ESG経営サイト>

これだけのデータを収集して分析するのは大変です。

さらに、サステナビリティ開示は人的資本はごく一部。さらに、環境配慮、社会資本、ガバナンスなどなど、とんでもない質量の情報開示が必要です。

そう、努力と根性と手作業だけでは決して終わりません。

いわゆるデジタル化、DXができていない企業にはかなりきつい。

しかも、環境配慮は単体の企業だけでなく、サプライチェーン全体での開示が求められています。

こうなると、本当に手作業では無理。

しかし、デジタライゼーションされていれば簡単です。

サプライチェーン全体でデータ収集の仕組みを共有し、同じプラットフォームに入力して集めれば良いのです。

デジタルを駆使して、いかに広範囲に、いかに低コストで収集・分析して、開示につなげられるか。

サステイナビリティ開示は

デジタライゼーションのチャンスかもしれません。


執筆者プロフィール

小柳はじめ(AB社代表)

⽶国公認管理会計⼠(CMA)、⽶国公認会計士(CPA/試験合格)。SASB FSA1(Fundamentals of Sustainability Accounting)取得。資格の学校TACでは、2011年よりUSCPAコースの講師を務める。